導入
Excel管理表が部署や担当者ごとに分かれていて、同じ「お客様番号」のはずなのに、ある表では「顧客ID」、別の表では「お客様コード」と書かれている、ということはありませんか。業務台帳や顧客管理、案件管理を3〜50人で運用していると起きやすい状態です。
そのまま複数の表からCSVを出し合うと、取込先での項目名が揃わず、突合や集計のたびに人手で名寄せする手間が発生します。原因の多くは、列名が表ごとに違うまま運用が積み重ねられてきたことにあります。
この記事では、Excel管理表のCSV列名を標準化し、複数表の連携をしやすくするための見直し手順を紹介します。明日から少しずつ揃えていける範囲で整理しました。
この記事で解決すること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 解決する課題 | 取込先で項目名が一致しない |
| 主な原因 | 列名が表ごとに違う |
| 解決方法 | CSV用の項目名ルールを決める |
| 対象業務 | 業務台帳・顧客管理・案件管理 |
| 対象人数 | 3〜50人 |
| 難易度 | ★★☆☆☆ |
| 作成時間 | 30分 |
| 効果 | 複数表の連携がしやすくなる |
| 向かないケース | 1つの表だけで完結する業務 |
ここで紹介するのは、Excel管理表を一気に作り替えるのではなく、CSV連携で使う項目名ルールを先に決めて、現場で少しずつ揃えていく見直し方法です。
なぜその管理表はうまくいかないのか
列名が表ごとに違うのは、担当者の気まぐれではなく、表が作られた時期と用途がバラバラで、共通ルールを持たないまま増えてきたことが原因です。次のような状態になっていないかを確認してみてください。
- 表を最初に作った担当者の好みで列名が決まり、引き継ぐ際にも修正されていない
- 顧客管理表は「お客様名」、請求管理表は「得意先名」と、業務ごとに呼び方が違う
- 同じ列でも「電話番号」「TEL」「連絡先」など人によって表記が違う
- 表記ゆれだけでなく、半角と全角や、スペースの有無もバラバラ
- 取込先システムの項目名は固定なのに、Excel側の列名と一対一で対応していない
このような状態では、CSVを出して取込先に流すたびに、誰かが手作業で項目名を直す必要が出てきます。担当者の知識や工夫に依存した運用になっていて、属人化の原因にもなりがちです。
改善手順
CSV用の項目名を標準化するための手順を、30分ほどで取り組める順に整理しました。業務台帳や顧客管理、案件管理など、複数の表をまたぐ業務を想定しています。
ステップ1. 連携する表と取込先の項目名を一覧化する
最初に、CSV連携の対象になっている表をリストアップし、それぞれの列名と取込先の項目名を一覧にします。表1の「顧客ID」と表2の「お客様番号」、取込先の「customer_id」がすべて同じ情報を指している、といった対応関係を可視化することがゴールです。
ステップ2. CSV用の項目名ルールを決める
取込先の項目名に合わせるのか、社内で呼びやすい日本語に統一するのかをまず決めます。続いて、半角・全角、スペース有無、英語表記の場合のスネークケースなど、表記の細かいルールを書き出します。あまり細かくしすぎず、判断に迷わない程度で構いません。
ステップ3. マスタとなる「項目名対応表」を作る
ルールに沿って、「業務用の正式な項目名」「取込先での項目名」「現状の各表での列名」を1枚にまとめた対応表を作ります。これがCSV連携のマスタになります。新しい表を作るときも、対応表を見れば列名がブレません。
ステップ4. 既存の表を少しずつ揃えていく
すべての表を一度に書き換える必要はありません。次に大きく改修するタイミングや、月次運用で触る順番で、対応表に沿って列名を直していきます。一度に変えるとCSV出力先や関数参照が壊れることがあるので、優先順位を付けて進めるのが安全です。
ステップ5. 新しい表を作るときの確認手順を残す
今後新しい表を作る人が同じ問題を生まないように、「列名を決めるときは対応表を確認する」という運用ルールを残します。対応表の置き場所と、ルール改訂時の連絡先を併せて書いておくと、引き継ぎがスムーズです。
Before / After
| 観点 | Before | After |
|---|---|---|
| 課題 | 表ごとに列名が違って取込先と一致しない | 標準化された項目名でそのまま取込できる |
| 原因 | 列名のルールが定まっていなかった | CSV用の項目名ルールと対応表がある |
| 運用 | 担当者が個別に列名を判断していた | 対応表を見れば誰でも判断できる |
| 確認 | CSV取込でエラーが出てから直す | 対応表で事前にチェックできる |
| 効果 | 名寄せに毎回時間がかかっていた | 複数表の連携がしやすくなる |
ポイントは、項目名のルールと対応表を1か所にまとめて、担当者が変わっても参照できる状態を作ることです。表ごとの判断ではなく、組織として揃えた項目名で動けるようになります。
実務での注意点
- 1つの表だけで完結する業務には向きません。CSV連携や複数表の集計を行わず、社内で1つの管理表だけ使っているなら、列名の標準化までやり込む必要は薄いです。表をまたいで集計する業務に絞って導入しましょう。
- 細かい命名規則を増やしすぎないようにします。覚えきれないルールは結局守られません。
- 既存の表をすべて一度に変えないようにします。CSV出力先や関数を壊さないよう、段階的に進めます。
- 対応表は紙ではなく、共有フォルダや管理表シートに置いておくと参照されやすくなります。
- 取込先システムの仕様が変わったときの更新フローも、簡単で構わないので決めておきます。
Web化・スプレッドシート化との関係
ツールを変える前に、CSV用の項目名を揃えておく作業は、どの選択肢でも役に立ちます。
Excel改善で足りる場合
3〜50人規模で、複数のExcel管理表を持ち寄ってCSV連携している場合は、項目名ルールと対応表を整えるだけで連携の手間がかなり減ります。連携先の数が増えない見通しなら、ツールを変えなくても十分に運用できます。
スプレッドシート化・Web化を考える場合
連携先が増えていく見通しがある、複数部署で同時に表を更新したい、といった要件が出てきた場合は、スプレッドシートや業務用Webアプリへの移行も検討対象になります。その場合でも、項目名ルールと対応表が先にあると、新ツール側のフィールド設計がそのまま進められます。
ツールを変える前に項目名を標準化しておくと、Excelを続ける場合でも別ツールへ移る場合でも、複数表の連携がしやすい状態を作れます。
まとめ
Excel管理表のCSV連携で項目名が一致しないのは、列名が表ごとに違うまま積み重なってきた結果です。CSV用の項目名ルールを決めて対応表にまとめ、既存の表を段階的に揃えていけば、複数表の連携がしやすくなります。まずは連携している表と取込先の項目名を一覧化するところから始めてみてください。
