導入
社内に共有している顧客管理表が横に40列あり、ノートPCの画面では右端まで見るのに3回スクロールが必要。閲覧担当は毎回「ステータス」と「次回連絡日」だけ見たいのに、間に「内部メモ」「請求情報」「過去対応履歴」が挟まって探しにくい、という場面はありませんか。
これは閲覧担当の操作が遅いのではなく、入力者向けの全列をそのまま閲覧者にも見せていることが原因です。本記事では、閲覧者ごとに「よく見る列」だけを表示するビューを切り出す手順をまとめます。
この記事で解決すること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 解決する課題 | 表が横に長く必要な情報が見つからない |
| 主な原因 | 全列をそのまま表示している |
| 解決方法 | 閲覧者ごとによく見る列だけを表示するビューを作る |
| 対象業務 | 顧客管理・案件管理・業務台帳 |
| 対象人数 | 3〜30人 |
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |
| 作業時間 | 15分 |
| 用意するもの | 対象のExcelファイル/編集権限 |
| 効果 | 探す時間を減らせる |
| 向かないケース | 列数が少ない表(10列未満) |
入力者は全列を扱う必要がありますが、閲覧者は判断や報告に使う列しか見ません。両者を同じ画面で兼ねないのが基本です。
なぜその管理表はうまくいかないのか
- 入力に必要な列(内部メモ、社内コードなど)が閲覧者にも見えている
- 列を非表示にすると入力時に毎回戻す手間が出る
- 「よく見る列」が閲覧者ごとに違うのに表が1つしかない
- 右端の列を見るのに何度もスクロールが必要
- 列順が入力しやすさ優先になっていて閲覧の流れと一致していない
担当者が見落としているのではなく、閲覧者の視線に合わせた列構成になっていないことが原因です。見直しは、閲覧者が「最初に見る列」を3〜5個書き出すところから始めます。
完成イメージ
直す前 — 入力用そのままで横に40列:
| 顧客ID | 顧客名 | 担当者 | 内部メモ | 社内コード | 連絡先 | 受付日 | ステータス | 次回連絡日 | 請求情報 | … |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| C-0012 | 山田商事 | 田中 | 提案中 | YD-001 | 内線123 | 4/3 | フォロー中 | 5/10 | 月締請求 | … |
直した後 — 閲覧用ビューに4列だけ:
| 顧客名 | 担当者 | ステータス | 次回連絡日 |
|---|---|---|---|
| 山田商事 | 田中 | フォロー中 | 5/10 |
閲覧者は4列だけを見れば判断でき、横スクロールが不要になります。
改善手順
ステップ1. 閲覧者と「よく見る列」をペアで書き出す
閲覧者を1人ずつ思い浮かべ、その人が判断や報告に使う列を最大5個まで決めます。
操作: 別シート「閲覧者別ビュー定義」を作り、A列に閲覧者、B列によく見る列、C列に閲覧頻度を記入する。
記入例:
| 閲覧者 | よく見る列 | 閲覧頻度 |
|---|---|---|
| 上長 | 顧客名/担当者/ステータス/次回連絡日 | 毎日 |
| 経理 | 顧客名/請求情報/受付日 | 月1回 |
| 経営層 | 担当者/ステータス/金額 | 月1回 |
「内部メモ/社内コード/連絡先」は閲覧者の誰にも出てこなければ閲覧用ビューには出しません。
ステップ2. 閲覧用シートを閲覧者ごとに作る
ビューはコピーではなく参照式で作ります。閲覧者が多い場合はまず1〜2人分から始めます。
操作: シートを新規作成し「顧客_閲覧_上長」「顧客_閲覧_経理」のように閲覧者を名前に入れる。タブ色を入力用と区別する(例:水色=閲覧)。
ステップ3. 必要列だけを参照式で並べる
閲覧用シートに、ステップ1で決めた列だけを並べます。
操作: 閲覧用シートA2に =IF(顧客_入力!B2="","",顧客_入力!B2) のように、入力用シートから必要列のみ参照する。順序は閲覧の流れ(左→右で読みやすい順)に並べ替えてよい。
記入例:
| 閲覧用_上長!A2 | 閲覧用_上長!B2 | 閲覧用_上長!C2 | 閲覧用_上長!D2 |
|---|---|---|---|
| =顧客_入力!B2(顧客名) | =顧客_入力!C2(担当者) | =顧客_入力!H2(ステータス) | =顧客_入力!I2(次回連絡日) |
✗悪い例: 入力用シートで列を非表示にして対応 → 入力時に毎回戻す ◎良い例: 閲覧用シートに必要列だけ参照する
ステップ4. 並び替えとフィルタを閲覧用シートに設定する
閲覧用シートはフィルタや並べ替えを自由に使えるようにします。入力用シートに影響しません。
操作: 閲覧用シートにオートフィルタを設定し、デフォルトを「次回連絡日が今月のもの」に絞る。並び替えは「次回連絡日 昇順」を既定にする。
ステップ5. 閲覧用シートをシート保護する
閲覧者が誤って参照式を上書きしないよう保護します。
操作: 「校閲」タブ→「シートの保護」を有効にする。閲覧用シートでフィルタ操作と並び替えだけ許可する設定にする。
実務での注意点
- 列数が少ない表(10列未満)には閲覧用ビューを別に作る価値が薄い場合があります。
- 閲覧者ごとに毎回新しいビューを作らず、似た閲覧者は1つにまとめます(例:上長3名で同じ列ならビューは1つ)。
- ビューに集計や条件付き書式を入れすぎないようにします。閲覧の邪魔になります。
- 入力用シートの列構成を変更したら、閲覧用シートの参照式も同じタイミングで直します。
- 閲覧者が「印刷したい」と言ったら、印刷範囲は閲覧用シート側で設定します。
まとめ
横に長くて見づらい原因は、入力用の全列を閲覧者にもそのまま見せていることです。閲覧用シートを閲覧者ごとに切り出し、必要列だけ参照式で並べれば、横スクロールせずに判断できるようになります。
次にやることは、「主な閲覧者と、その人がよく見る列」を3〜5組書き出すことです。閲覧用シートの作成はそのあとで構いません。あわせて、確認専用ビューが必要なら確認用列だけを並べる手順、月次の報告画面を作るなら報告用ビューを別に作る手順も参考になります。

