導入
申請管理や見積管理、契約管理のExcel管理表で、「確認済み」「承認済み」「差し戻し」「保留」と、状態管理のためのチェック列が右側にずらりと並んでいませんか。5〜50人ほどで使う管理表では、新しい状態が必要になるたびに列を1つ足していくうちに、状態を表す列だけで10個近くになってしまうことがあります。
列が増えると、1件の申請がいま全体としてどの状態なのか、ぱっと見では分からなくなります。チェックが入った列を目で追い、複数の列を見比べて判断することになり、確認に時間がかかります。この記事では、状態ごとに列を増やすやり方を見直し、状態種別と状態値という形に整理して、状態の移り変わりを追いやすくする管理表の整え方を紹介します。
この記事で解決すること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 解決する課題 | 確認済み・承認済みなど状態列が増えすぎる |
| 主な原因 | 状態の種類と履歴を分けていない |
| 解決方法 | 状態種別と状態値を持つ形に整理する |
| 対象業務 | 申請管理・見積管理・契約管理 |
| 対象人数 | 5〜50人 |
| 難易度 | ★★☆☆☆ |
| 作成時間 | 45分 |
| 効果 | 状態変化を追いやすくなる |
| 向かないケース | 状態が1つだけの単純表 |
この記事は、管理表をいきなり作り替えるのではなく、いまある状態列の持ち方を見直す範囲の内容です。状態を「いくつもの列」ではなく「種別」と「値」の組み合わせで表す、という考え方が中心になります。
なぜその管理表はうまくいかないのか
状態を表す列が増え続けるのは、担当者がこまめに列を足してきた結果であって、本人の問題ではありません。原因は、状態の「種類」と「移り変わり」を表の構造で分けていないことにあります。
状態には2つの側面があります。1つは「確認」「承認」といった状態の種類、もう1つは「未・済・差し戻し」といった現在の値です。この2つを分けずに、種類ごとに列を作り、その列にチェックや日付を入れていくと、状態の数だけ列が必要になります。
そのため、次のような困りごとが起きます。
- 状態の種類が増えるたびに列を足すので、表が横に伸び続ける
- 1件がいまどの段階かを、複数の列を見比べないと判断できない
- いつ確認済みになったのか、履歴が列の中に埋もれて追えない
- 同じような状態列が重複し、どれを正とするか分からなくなる
- 引き継いだ人が、どの列にいつ何を入力するか迷う
状態を列の数で表現しているかぎり、種類が増えれば表も膨らみます。これは入力の丁寧さではなく、構造の問題です。
改善手順
状態を列の数ではなく「種別」と「値」で表す形に整理します。手順を4つのステップに分けて説明します。
ステップ1. 状態の種類を書き出す
まず、いま列として持っている状態をすべて書き出します。「受付確認」「内容確認」「上長承認」のように、状態の種類が並ぶはずです。これが「状態種別」の選択肢になります。
ステップ2. 状態の値を決める
次に、それぞれの種別が取りうる値を決めます。多くは「未対応・対応中・完了」や「未・済・差し戻し」のような数種類に収まります。これを「状態値」として、プルダウンで選べるようにします。
ステップ3. 状態種別と状態値の列に置き換える
状態ごとに分かれていた列をやめ、「状態種別」「状態値」「更新日」の数列にまとめます。1件が複数の状態を持つ場合は、申請IDごとに状態の行を分けて持つと、種類が増えても列は増えません。
ステップ4. 現在の状態を1か所で見えるようにする
最後に、各申請の最新状態をピボットテーブルや関数で1列にまとめます。これで「いまどの段階か」を、列を見比べずに1か所で確認できます。
Before / After
| 観点 | Before | After |
|---|---|---|
| 課題 | 状態列が右へ増え続ける | 状態種別と値の数列で固定される |
| 原因 | 状態の種類と値が混ざっている | 種別と値を分けて持っている |
| 運用 | 新しい状態ごとに列を追加 | 種別の選択肢を1つ足すだけ |
| 確認 | 複数の列を見比べて判断 | 最新状態を1か所で確認 |
| 効果 | 段階の把握に時間がかかる | 状態変化を順に追いやすい |
状態種別と状態値で持つようにすると、状態が増えても表の幅は変わらず、いつどの状態になったかを順に追えるようになります。
実務での注意点
状態管理を整理するときは、次の点に気をつけてください。
- 状態が1つだけの単純な表には向きません。受付の有無だけを管理する表なら、1列のままで十分です
- 状態の種類を最初から細かく分けすぎないようにします。実務で判断に使う段階だけに絞ります
- 状態値の選択肢はプルダウンで固定し、表記の揺れを防ぎます
- 更新日を必ず一緒に記録すると、状態変化の履歴として後から役立ちます
- 厳密な承認や監査が必要な業務では、別に承認の仕組みを検討したほうがよい場合があります
Web化・スプレッドシート化との関係
Excel改善で足りる場合
申請や見積の管理が5〜50人ほどの規模で、状態の段階がそれほど多くなければ、Excelで状態種別と状態値の形に整理するだけで十分に運用できます。列の増殖はこれで止まります。
スプレッドシート化・Web化を考える場合
申請ごとに承認者へ自動で通知したい、状態の変更履歴をきちんと残したい、という要望が強い場合は、スプレッドシートやWebの仕組みが選択肢になります。ただしその場合も、状態を種別と値で持つ考え方は同じです。
ツールを変える前に、状態種別と状態値という形に整理しておくと、Excelを続ける場合にも別ツールへ移る場合にも、その整理がそのまま生きてきます。
まとめ
確認済み・承認済みなどの状態列が増え続けるのは、状態の種類と履歴を分けていないことが原因です。状態種別と状態値を持つ形に整理すれば、状態が増えても表は膨らまず、状態の移り変わりを追いやすくなります。
