導入
案件管理や商品管理、問い合わせ管理のExcel管理表で、1つのセルに複数値を、「田中、佐藤」「商品A/商品B」のようにまとめて入力していませんか。5〜50人ほどで使う管理表では、担当者が複数いるときや商品が複数あるときに、1つのセルにカンマや区切り記号で詰め込んでしまうことがよくあります。
入力するときは手早く済みますが、後から「担当者ごとの件数」や「商品ごとの売上」を数えようとすると、1セルに複数の値が入っているために正しく集計できません。この記事では、1つのセルに複数の値を詰め込むやり方を見直し、値ごとに分解して検索や集計ができるようにする管理表の整え方を紹介します。
この記事で解決すること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 解決する課題 | 複数担当や複数商品が1セルに入って集計できない |
| 主な原因 | カンマ区切りなどで複数値を同じセルに入れている |
| 解決方法 | 値ごとに行を分けるか関連表に分ける |
| 対象業務 | 案件管理・商品管理・問い合わせ管理 |
| 対象人数 | 5〜50人 |
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 作成時間 | 60分 |
| 効果 | 検索と集計の精度が上がる |
| 向かないケース | 複数値を集計しないメモ用途 |
この記事は、管理表を大きく作り替えるのではなく、1セルに詰め込まれた複数の値をほどいて整理する範囲の内容です。「1つのセルには1つの値」を基本に戻す、という考え方が中心になります。
なぜその管理表はうまくいかないのか
1セルに複数の値が入って集計できないのは、入力する人の手抜きではなく、複数あるものを1つの列で表そうとしていることが原因です。
担当者や商品は、1件の案件に複数ひもづくことがあります。それを1つの列で表そうとすると、1つのセルに複数の値を詰め込むしかなくなります。Excelのセルは本来1つの値を入れる場所なので、複数を入れた時点で集計や検索の対象として扱いにくくなります。
そのため、次のような困りごとが起きます。
- 担当者ごとに件数を数えようとしても、セルの中身が一致せず数えられない
- 「佐藤」で検索しても、「田中、佐藤」のセルが引っかかったり外れたりする
- 区切り記号がカンマだったり全角だったりして、表記が揺れる
- 並べ替えると、複数値のセルが意図しない位置に来る
- 値の数が増えるほど、1つのセルが長くなって読みにくい
これは入力の丁寧さの問題ではなく、複数の値を1セルに収めている構造の問題です。
改善手順
1セルの複数値を分解する手順を、4つのステップに分けて説明します。
ステップ1. 複数値が入っている列を洗い出す
まず、1つのセルに複数の値が入っている列を探します。担当者、商品、対応分類など、カンマや区切り記号が含まれる列が候補です。
ステップ2. 分解の方針を決める
次に、その列を「行を分ける」のか「関連表に分ける」のかを決めます。1案件に担当が複数なら案件ごとに行を分ける、商品が多く案件と多対多になるなら関連表に分ける、と使い分けます。
ステップ3. 値ごとに行または関連表へ展開する
方針に沿って、複数値のセルをほどきます。行を分ける場合は、案件情報を繰り返しながら担当者を1人1行にします。関連表に分ける場合は、案件IDと担当者IDの組み合わせを1行ずつ持つ表を作ります。
ステップ4. 入力をプルダウンで支える
分解した後は、値を1つずつ選んで入力できるよう、担当者や商品のプルダウンを用意します。これで、また1セルに複数を詰め込んでしまうことを防げます。
Before / After
| 観点 | Before | After |
|---|---|---|
| 課題 | 複数値が1セルに入って集計できない | 値ごとに行または関連表で持つ |
| 原因 | カンマ区切りで同じセルに詰め込む | 1セル1値に分解している |
| 運用 | セルに区切り記号で書き足す | プルダウンで1つずつ選ぶ |
| 確認 | 検索しても一致しないことがある | 値が独立して検索・集計できる |
| 効果 | 担当別・商品別に数えられない | 検索と集計の精度が上がる |
値を分解すると行数や表は増えますが、担当者ごと・商品ごとの集計や検索が正しくできるようになり、数えた結果を信頼できるようになります。
実務での注意点
多値セルの分解を進めるときは、次の点に気をつけてください。
- 複数値を集計しないメモ用途には向きません。読むだけのメモなら、1セルにまとめたままでも困りません
- 関連表まで作るかは、集計の必要性で判断します。単純な場合は行を分けるだけで十分です
- 分解の途中で、区切り記号の揺れ(半角・全角)を一度そろえておきます
- 行を分ける場合、繰り返す案件情報が食い違わないように転記します
- すべての列を一度に分解しようとせず、集計で困っている列から始めます
Web化・スプレッドシート化との関係
Excel改善で足りる場合
案件管理や問い合わせ管理が5〜50人ほどの規模で、複数値の列がいくつかに限られているなら、Excelで行を分けるか関連表を作るだけで十分に運用できます。
スプレッドシート化・Web化を考える場合
担当者や商品を選んで複数ひもづける操作を、入力フォームで楽に行いたい場合は、スプレッドシートやWebの仕組みが選択肢になります。ただしその場合も、1セル1値に分けて持つ考え方は同じです。
ツールを変える前に、複数値を値ごとに行や関連表へ分解して整理しておくと、Excelを続ける場合にも別ツールへ移る場合にも、その整理がそのまま生きてきます。
まとめ
複数担当や複数商品が1セルに入って集計できないのは、カンマ区切りで複数値を同じセルに入れていることが原因です。値ごとに行を分けるか関連表に分ければ、検索と集計の精度が上がります。
