導入
案件管理や顧客管理、問い合わせ管理のExcel管理表が部署内にいくつもあって、どこから手を入れればよいか決められない、という状況はよくあります。担当者の感覚で「最近トラブルが多かった表」を選んでしまい、いざ改善しても効果が小さかった、というケースも珍しくありません。これは担当者の判断力ではなく、管理表ごとの利用件数や利用頻度を見える形で比較できていないことが原因です。
この記事では、行数・更新頻度・利用人数といった利用件数の情報から、改善優先度の高い管理表を選ぶ方法を紹介します。
この記事で解決すること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 解決する課題 | 改善効果が大きい表を選べない |
| 主な原因 | 利用頻度や対象件数を見ていない |
| 解決方法 | 行数・更新頻度・利用人数を確認する |
| 対象業務 | 案件管理・顧客管理・問い合わせ管理 |
| 対象人数 | 3〜50人 |
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |
| 作成時間 | 15分 |
| 効果 | 効果が出やすい表を選べる |
| 向かないケース | ほとんど使われていない表 |
この記事はいきなり大きな改善プロジェクトを始めるのではなく、手元にある管理表のうち「どこから直すと効果が出るか」を15分ほどで判断するための内容です。
なぜその管理表はうまくいかないのか
改善対象が決められない管理表には、共通する状況があります。
- 管理表ごとの行数や利用人数が把握されていない
- 「毎日使われている表」と「月に1回だけ使う表」が同じ優先度で扱われている
- トラブル報告が来た表だけを場当たり的に手直ししている
- 担当者の声の大きさで優先度が決まる
- 集計や報告に直接使われている表とそうでない表が区別されていない
- 改善前と改善後の効果を比較する基準がない
担当者が悪いのではなく、管理表を選ぶときの判断材料が表の外に出ていないことが原因です。利用件数のような客観的な数字を一度そろえると、議論しなくても優先度が見えてきます。
改善手順
ステップ1. 対象の管理表を一覧にする
部門で使っている管理表を、ファイル名・主担当・利用目的の3項目で一覧にします。サブフォルダに分散しているものも含め、利用されている表だけを残します。
ステップ2. 行数を確認する
各管理表のデータ行数を確認します。ヘッダーや集計行を除いた純粋な明細行の件数で問題ありません。500行を超える表、月に100行以上増える表は、構造の影響が大きくなりやすいので注目しておきます。
ステップ3. 更新頻度を確認する
更新頻度を「毎日・週次・月次・不定期」の4段階で記録します。判断が難しい場合は、直近1か月で更新された日数を数えると客観的になります。
ステップ4. 利用人数を確認する
入力者・確認者・閲覧者を分けて人数を数えます。「閲覧者は分からない」場合は、共有先のメール宛先やフォルダ権限から推定します。
ステップ5. 一覧表で優先度を判定する
行数・更新頻度・利用人数を1枚の一覧表にまとめ、3つともが高い表を最優先、2つが高い表を次点として並べ替えます。優先度の根拠が数字で残るので、関係者にも説明しやすくなります。
Before / After
| 観点 | Before | After |
|---|---|---|
| 課題 | 改善対象を感覚で選んでしまう | 利用件数の数字で優先順位を決められる |
| 原因 | 行数・更新頻度・人数が見えない | 3項目を一覧にして比較できる |
| 運用 | トラブル報告が来た表から手を入れる | 影響範囲の大きい表から計画的に着手する |
| 確認 | 担当者の感覚 | 行数と利用人数の客観値 |
| 効果 | 改善してもインパクトが小さい | 効果が出やすい表を先に直せる |
3項目をそろえてから優先度を決めるだけで、「とりあえず目立つ表から直す」運用から抜け出せます。
実務での注意点
- 向かないケース:ほとんど使われていない管理表は、行数が少ない・更新が止まっているので、そもそも優先度判定の対象から外して構いません
- 行数だけで判断しないこと。少人数でも報告に使われている表は影響範囲が大きい場合があります
- 「不定期」と記録した表は、年に数回でも重要な業務に使われているか必ず確認してから外します
- 一度の優先度判定で完璧を目指さず、1か月〜四半期単位で見直します
- 利用人数は「入力する人」だけでなく「閲覧する人」も含めます
Web化・スプレッドシート化との関係
Excel改善で足りる場合
3〜50人で使っていて、Excelファイルの保管・共有ルールが回っているのであれば、優先度の高い表からExcelのまま改善するほうが負担が少なく済みます。
スプレッドシート化・Web化を考える場合
利用人数が30人を超え、同時編集や履歴管理の必要性が出てきている管理表が複数ある場合は、優先度の高い表から順にWeb化やスプレッドシート化を検討する材料にもなります。
ツールを変える前にこの優先度判定をしておくと、Excelを続ける場合にも、別ツールへ移る場合にも、どの表から手を付けるかを共通の根拠で説明できます。
まとめ
改善効果が大きい表を選べない原因は、利用頻度や対象件数を見ていないことにあります。行数・更新頻度・利用人数を一覧にして比較する手順で、効果が出やすい表から先に改善できるようになります。

