導入
archiveフォルダを開いたら、10年以上前の月次報告や、もう存在しない取引先の契約書まで延々と残っていて、フォルダサイズが100GBを超えている。クラウドストレージの容量を圧迫しているし、検索しても古い結果ばかり出てくる――こんな場面はありませんか。
これは整理不足ではなく、archiveに入れたファイルをいつまで保管していつ削除するかが決まっていないことが原因です。本記事では、業務ごとに保存期間(1年・3年・5年など)を決めて、定期棚卸しで削除する運用を整える手順をまとめます。
この記事で解決すること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 解決する課題 | 古いファイルが無限に増える |
| 主な原因 | 削除や保管期間のルールがない |
| 解決方法 | 1年 3年 5年など保存期間を決める |
| 対象業務 | 部門共通の管理表全般 |
| 対象人数 | 2〜30人 |
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |
| 作業時間 | 15分 |
| 用意するもの | archiveフォルダ/法定保管期間の確認資料 |
| 効果 | フォルダ肥大化を防げる |
| 向かないケース | 法定保管が必要で個別判断が必要な業務 |
archive内の各業務に「保存期間」と「削除担当」を割り当て、年1回の棚卸しで仕組み化すれば、archiveが青天井に増えるのを止められます。
なぜその管理表はうまくいかないのか
- 保存期間が決まっていないので、削除する根拠がない
- 「いつか必要になるかも」で全部残す習慣になっている
- 法定保管期間(会計7年など)を意識せず、過剰に長く保管している
- 削除する担当が決まっていない
- 棚卸しのタイミングが決まっていない
担当者の判断ではなく、保存期間のルールと棚卸しの仕組みが定まっていないことが原因です。見直しは、archive内の各業務に保存期間を仮決めし、READMEに明記するところから始めます。
完成イメージ
直す前 — 永久保存になっている:
archive/
20130930_月次報告_2013年09月_v01.xlsx ← 10年前
20140330_売上管理_2014年03月_v01.xlsx ← 9年前
20180430_顧客台帳_廃止_v01.xlsx ← 廃止案件
...(数百ファイル)
README.txt(保管期間の記載なし)
→ 何を消していいか判断する根拠がない。
直した後 — 保存期間と削除担当を明示:
archive/
README.txt(保管期間を明記)
FY2020/ ← 5年前。今年度末に削除予定
FY2021/
FY2022/
FY2023/
FY2024/ ← 現在
README.txtの中身例:
| 業務 | 保存期間 | 削除担当 | 法定根拠 |
|---|---|---|---|
| 月次報告 | 3年 | 経理部 鈴木 | 社内規定 |
| 売上管理 | 7年 | 経理部 鈴木 | 会計法(仕訳帳保管) |
| 顧客台帳 | 5年 | 営業部 田中 | 社内規定(個人情報) |
| 申請書 | 1年 | 総務部 佐藤 | 社内規定 |
年1回の棚卸しで、期間を超えたものを削除する。
改善手順
ステップ1. 業務ごとの保存期間を仮決めする
各業務でarchiveを何年残すかを決めます。
操作: archive直下のREADMEに、業務ごとの保存期間を一覧化する。最初は社内常識に基づく仮決めでOK。
記入例:
| 業務 | 仮決め保存期間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 月次報告 | 3年 | 過去3年分を社内で参照する慣習 |
| 売上管理 | 7年 | 経理関連は7年が一般的 |
| 顧客台帳 | 5年 | 個人情報の取り扱い基準 |
| 申請書(社内) | 1年 | 当年+前年あれば十分 |
| 契約書 | 10年 | 契約終了後10年保管が業界慣習 |
✗悪い例: 「全業務 永久保存」 → archive肥大化が止まらない ◎良い例: 業務ごとに1〜10年で個別設定 → メリハリが付く
ステップ2. 法定保管期間との整合を確認する
仮決めした期間が法律で定められた最低期間を満たしているか確認します。
操作: 経理・法務・人事に確認し、法定保管期間を超えていることを必ず確かめる。
記入例:
| 業務 | 仮決め | 法定最低 | 確定 | 確認先 |
|---|---|---|---|---|
| 月次報告(決算関連) | 3年 | 7年(会計法) | 7年 | 経理部 |
| 売上管理 | 7年 | 7年(会計法) | 7年 | 経理部 |
| 給与関連 | 5年 | 7年(労基法) | 7年 | 人事部 |
| 顧客個人情報 | 5年 | 利用目的達成まで | 5年 | 法務部 |
| 申請書(社内) | 1年 | 規定なし | 1年 | 総務部 |
法定期間を下回っていたら、必ず引き上げる。法定期間を上回るのは構わない(無駄ではあるが違法ではない)。
ステップ3. archiveフォルダのREADMEに保存期間を明記する
決定した保存期間と削除担当者をREADMEに記載します。
操作: archive/README.txtに以下を記載する。
記入例:
# archive保管期間ルール
| 業務 | 保存期間 | 削除担当 | 法定根拠 | 削除時期 |
|---|---|---|---|---|
| 月次報告 | 7年 | 経理部 鈴木 | 会計法 | 年度末(3月) |
| 売上管理 | 7年 | 経理部 鈴木 | 会計法 | 年度末(3月) |
| 顧客台帳 | 5年 | 営業部 田中 | 社内規定 | 年度末(3月) |
| 申請書 | 1年 | 総務部 佐藤 | 社内規定 | 月次棚卸し |
期間カウント: archive移動日からの経過年数(移動日が古い順に判定)
新人や異動者が削除判断のとき必ずREADMEを参照する文化を作る。
ステップ4. 削除前チェックと削除担当者を決める
削除実行の権限と確認手順を決めます。
操作: 削除フローを「削除候補リスト作成 → 業務担当者確認 → 削除実行」の3段階にする。
記入例:
| 段階 | 担当 | 作業 |
|---|---|---|
| 1. 候補リスト作成 | archive管理担当 | 保存期間を超えたファイルを一覧化 |
| 2. 業務担当者確認 | 業務担当 | リストを確認し「削除可」「保留」を回答 |
| 3. 削除実行 | archive管理担当 | 「削除可」のものだけ削除。「保留」は次回再確認 |
✗悪い例: 1人で「これは古いから削除」と判断 → 後で必要だったと判明し復元できない ◎良い例: 候補→確認→実行の3段階 → 削除リスクを最小化
ステップ5. 年1回の棚卸しを定期化する
棚卸しのタイミングをカレンダーに固定します。
操作: 年1回(例:4月最初の業務日)、archive管理担当が削除候補リストを作って関係者に回す運用にする。社内カレンダーに繰り返し予定として登録する。
記入例:
| 業務 | 棚卸し時期 | 担当 | 所要時間目安 |
|---|---|---|---|
| 月次報告 | 4月第1週 | 経理部 鈴木 | 1時間 |
| 売上管理 | 4月第1週 | 経理部 鈴木 | 1時間 |
| 顧客台帳 | 4月第2週 | 営業部 田中 | 1時間 |
| 申請書 | 毎月末 | 総務部 佐藤 | 30分 |
年1回でも仕組み化すれば、archiveの肥大化は止まる。
実務での注意点
- 法定保管が必要で個別判断が必要な業務(医療記録、税務関連など)では、社内ルールではなく法務・税務担当の指示に従ってください。
- 削除前に、archive管理担当の個人領域に「削除予定」フォルダを作って一時退避すると、削除後の復元要望に対応しやすくなります(30〜90日後に完全削除)。
- 削除する根拠を業務担当者と必ず合意してから実行します。1人判断で消すと、後で必要になったとき責任問題になります。
- 法定保管期間は法改正で変わることがあります。年1回の棚卸し時に、ルール自体も見直す枠を取ります。
- クラウドストレージの自動削除機能(90日後自動削除など)は便利ですが、誤削除リスクがあるので「削除候補リスト→人の確認→削除」の3段階を残します。
まとめ
archiveが無限に増える原因は、ファイルの保存期間と削除運用が決まっていないことです。業務ごとに保存期間を決め、法定要件と整合させ、年1回の棚卸しで削除する運用を仕組み化すれば、archiveの青天井な肥大化は止まります。
次にやることは、自分の業務のarchiveフォルダを開き、最も古いファイルがいつのものか確認することです。10年以上前のものが残っていれば、本記事のルールが効きます。あわせて、archiveの作り方はarchiveフォルダを作って分ける手順、archive内の命名はarchiveのファイル名を統一する手順も参考になります。

