導入
申請管理や見積管理、契約管理のExcel管理表で「これ、誰の承認をもらえばいいんだっけ」と止まってしまった経験はありませんか。承認者が決まっていないと、申請が宙に浮き、関係者を回って探すことになります。
これは申請者の確認不足ではなく、申請内容ごとの承認者が業務側でも管理表側でも決まっていないことが原因です。承認者が一律「上長」になっていたり、暗黙の慣習になっていたりすると、運用に乗りません。
3〜30人で使う管理表でも、申請内容ごとに承認者を決めるだけで、承認責任が明確になります。この記事では、その整理手順を紹介します。
この記事で解決すること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 解決する課題 | 承認者が分からず処理が止まる |
| 主な原因 | 承認責任者が決まっていない |
| 解決方法 | 申請内容ごとに承認者を決める |
| 対象業務 | 申請管理・見積管理・契約管理 |
| 対象人数 | 3〜30人 |
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |
| 作成時間 | 20分 |
| 効果 | 承認責任が明確になる |
| 向かないケース | 承認工程がない表 |
この記事は管理表を作り変えるのではなく、上記の解決方法に沿って、申請内容と承認者の関係を整理する内容です。
なぜその管理表はうまくいかないのか
承認者が分からなくなる管理表には、共通する特徴があります。
第一に、承認者が業務側でも決まっていないケースです。誰の承認を得れば成立するかが曖昧だと、申請者は判断できません。第二に、承認者は決まっているが、表側に書かれていないケースです。新しい申請者には伝わりません。
第三に、申請内容や金額によって承認者が分かれるのに、その分岐が表に書かれていないケースです。「金額が一定以上は部長」「契約条件変更は法務」のような分岐は、文書化しないと再現できません。
第四に、承認者の代替(不在時の代理)が決まっていないケースです。
これらは個人の責任ではなく、承認者と分岐の整理が業務側で言語化されていないことが本当の原因です。
改善手順
申請内容別に承認者を決める手順です。
ステップ1. 申請の種類を洗い出す
その業務で発生する申請の種類を洗い出します。「新規契約」「契約条件変更」「単価変更」「見積発行」「特別対応」など、5〜10種類に整理します。
ステップ2. 種類ごとに承認者を決める
種類ごとに承認者を決めます。役割名(部長、課長、法務担当)で書く方法と、個人名で書く方法があります。3〜30人規模なら役割名のほうが運用が続きやすいです。
ステップ3. 金額や条件で分岐がある場合は表で示す
「金額50万円以上は部長承認」のような分岐がある場合は、申請内容×金額帯のマトリクスで承認者を示します。
ステップ4. 表に「承認者」列を追加する
管理表に「承認者」列を追加し、プルダウンで承認者を選べるようにします。マトリクスに従って承認者を指定する運用にします。
ステップ5. 代替承認者を決めて表の冒頭に書く
承認者が不在のときの代替を、種類ごとに決めます。承認者一覧と代替を、ファイル冒頭シートに書いておきます。
Before / After
| 観点 | Before | After |
|---|---|---|
| 課題 | 承認者が分からず処理が止まる | 種類ごとに承認者が決まっている |
| 原因 | 承認責任が未整理 | 申請内容×承認者の表がある |
| 運用 | 周囲を回って探す | 表を見れば承認者が分かる |
| 確認 | 代替承認者がいない | 代替も決まっている |
| 効果 | 申請が滞留する | 承認責任が明確になる |
承認者一覧を表の冒頭に置くと、申請者の動きが格段にスムーズになります。
実務での注意点
向かないケースとして、承認工程が業務として存在しない表があります。承認列を入れても運用負荷だけ増えるので、別運用にします。
そのほか実務上の注意点として、次の点に気を配ります。
- 承認者を増やしすぎない
- 分岐は最小限に抑える
- 代替承認者は事前に合意を取る
- 役割名で書くと異動時の修正が減る
- 半年ごとに承認者一覧を見直す
Web化・スプレッドシート化との関係
承認者の整理は、Excelでも十分機能します。一方で、自動ルーティングが必要な場合はツール選定の検討余地があります。
Excel改善で足りる場合
3〜30人で、承認者一覧と代替を冒頭シートで運用できる規模ならExcel改善で対応できます。
スプレッドシート化・Web化を考える場合
申請の種類や金額に応じて自動で承認者をルーティングしたい、承認の通知を自動化したい場合は、スプレッドシートや業務システムが向きます。
ツールを変える前に、申請内容×承認者の整理という基本作業をしておくと、Excelを続ける場合も別ツールに移る場合も同じ整理がそのまま使えます。
まとめ
承認者が分からず処理が止まる原因は、申請内容ごとの承認者が決まっていないことです。種類と承認者と代替の3点を整理して表の冒頭に書けば、申請管理や見積管理でも承認責任を明確にできます。

