導入
営業部の共有フォルダを開くと、月次報告、売上集計、顧客台帳、出張申請、研修記録、議事録が同じ階層に並んでいる。「売上集計だけ見たい」と思っても、関係ない申請書や議事録に紛れていて、目的のファイルを見つけるのに時間がかかる――こんな場面はありませんか。
これは整理整頓の問題ではなく、フォルダの分類軸が「業務」になっていないことが原因です。本記事では、業務一覧を作って業務名でフォルダを切り、関係ないファイルが混ざらない状態にする手順をまとめます。
この記事で解決すること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 解決する課題 | 異なる業務のファイルが混ざる |
| 主な原因 | フォルダ分類が決まっていない |
| 解決方法 | 案件管理や請求管理など業務別に分ける |
| 対象業務 | 売上管理・請求管理・顧客管理 |
| 対象人数 | 2〜30人 |
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |
| 作業時間 | 15分 |
| 用意するもの | 共有フォルダの編集権限 |
| 効果 | ファイルを探しやすくなる |
| 向かないケース | ファイル数が少ない環境 |
業務一覧を作って、共有フォルダ直下に業務名のフォルダを切るだけで、関係ない業務のファイルが視界に入らなくなります。
なぜその管理表はうまくいかないのか
- フォルダ階層が「年月別」「担当者別」になっていて、業務をまたいでいる
- 業務名のフォルダがなく、ファイル名だけで業務を区別している
- 業務横断のファイル(議事録、共通テンプレなど)の置き場が決まっていない
- 過去の担当者が作ったフォルダ名がそのまま残っている
- フォルダ構成を関係者に共有していない
担当者の整理癖ではなく、業務名でフォルダを分ける運用ルールが定まっていないことが原因です。見直しは、自部署で扱う業務の一覧を書き出すところから始めます。
完成イメージ
直す前 — 業務がフラットに混在:
営業部共有/
月次報告_2024年04月.xlsx
売上集計_2024年04月.xlsx
顧客台帳.xlsx
出張申請_鈴木_2024年04月.xlsx
研修記録_新人研修.xlsx
4月定例議事録.docx
顧客連絡先_田中担当.xlsx
申請テンプレ.xlsx
...(数百ファイル)
→ 目的のファイルを探すのに時間がかかる。
直した後 — 業務名でフォルダを切る:
営業部共有/
README.md
01_月次報告/
月次報告_2024年04月.xlsx
archive/
02_売上管理/
売上集計_2024年04月.xlsx
archive/
03_顧客管理/
顧客台帳.xlsx
顧客連絡先_田中担当.xlsx
04_申請・経費/
出張申請_鈴木_2024年04月.xlsx
申請テンプレ.xlsx
05_研修・教育/
研修記録_新人研修.xlsx
99_部門横断/
4月定例議事録.docx
業務単位でファイルが分離され、目的のフォルダだけ開けば済む。
改善手順
ステップ1. 業務一覧を洗い出す
自部署で扱う業務を全部書き出します。
操作: ホワイトボードまたは別Excelシートに、現在共有フォルダにあるファイルの業務種別を列挙する。重複や似た業務はまとめる。
記入例:
| 業務名 | 主担当 | 月次/随時 | ファイル数の目安 |
|---|---|---|---|
| 月次報告 | 鈴木 | 月次 | 10〜20 |
| 売上管理 | 田中 | 月次 | 10〜20 |
| 顧客管理 | 鈴木 | 随時 | 30〜50 |
| 申請・経費 | 全員 | 随時 | 50〜100 |
| 研修・教育 | 山田 | 随時 | 5〜10 |
| 部門横断(議事録等) | 持ち回り | 月次 | 10〜20 |
業務名は「動詞+対象」または「対象+管理」の形で短くする。
ステップ2. 業務名でフォルダ名を統一する
業務一覧をもとに、共有フォルダの直下に業務フォルダを作ります。
操作: 共有フォルダ直下に「番号_業務名」のフォルダを作る。番号は2桁ゼロ埋め。番号順で意味のある並びにする(月次系→随時系→横断系)。
記入例:
| フォルダ名 | 業務 |
|---|---|
| 01_月次報告/ | 月次の社内報告 |
| 02_売上管理/ | 売上集計と分析 |
| 03_顧客管理/ | 顧客台帳と連絡先 |
| 04_申請・経費/ | 出張・経費・各種申請 |
| 05_研修・教育/ | 研修記録と教材 |
| 99_部門横断/ | 議事録・共通テンプレなど |
✗悪い例: フォルダ名「月次」「売上」「顧客」だけ → 並び順がアルファベット順で意図が出ない ◎良い例: 「01_月次報告」のように番号付き → 業務の優先度や種別が並び順に反映される
ステップ3. 既存ファイルを業務別フォルダへ振り分ける
現状の共有フォルダ直下のファイルを、新しい業務フォルダへ移動します。
操作: ファイルを1つずつ確認し、該当する業務フォルダへドラッグ移動。判断に迷うものは「未分類」フォルダを一時作成して保留。
記入例:
| 元ファイル名 | 移動先 |
|---|---|
| 月次報告_2024年04月.xlsx | 01_月次報告/ |
| 売上集計_2024年04月.xlsx | 02_売上管理/ |
| 顧客台帳.xlsx | 03_顧客管理/ |
| 出張申請_鈴木_2024年04月.xlsx | 04_申請・経費/ |
| 4月定例議事録.docx | 99_部門横断/ |
| 謎ファイル.xlsx | 未分類/(後で確認) |
一度に全部やる必要はなく、業務単位で順次進める。
ステップ4. 業務横断のファイルを別フォルダにまとめる
複数業務にまたがるファイルは、横断用のフォルダにまとめます。
操作: 「99_部門横断」または「00_共通」というフォルダを作り、議事録・組織図・共通テンプレ・連絡先などを集約する。
記入例:
| フォルダ | 入れるもの |
|---|---|
| 99_部門横断/議事録 | 部内定例・全体ミーティング議事録 |
| 99_部門横断/組織図 | 組織図・連絡網 |
| 99_部門横断/共通テンプレ | 申請書ひな型・報告書テンプレ |
| 99_部門横断/規定・ルール | 業務手順書・社内規定 |
「99_」(または「00_」)プレフィクスにすると、業務フォルダの上または下に固定で並ぶ。
ステップ5. フォルダ構成をREADMEで明記する
新規参加者や他部門の人が見ても構成が分かるよう、READMEを置きます。
操作: 共有フォルダ直下にREADME.md(またはREADME.xlsx)を作り、各フォルダの役割と担当を記載する。
記入例:
# 営業部共有フォルダ
| フォルダ | 役割 | 担当 |
|---|---|---|
| 01_月次報告 | 月次の社内報告 | 鈴木 |
| 02_売上管理 | 売上集計と月次分析 | 田中 |
| 03_顧客管理 | 顧客台帳・連絡先 | 鈴木 |
| 04_申請・経費 | 出張・経費・各種申請 | 全員 |
| 05_研修・教育 | 研修記録と教材 | 山田 |
| 99_部門横断 | 議事録・組織図・共通テンプレ | 持ち回り |
新しい業務が発生した場合、フォルダ追加の判断は鈴木に相談。
READMEがあれば、新人や異動者が初日からフォルダ構成を理解できる。
実務での注意点
- ファイル数が少ない環境(個人や2〜3人で総ファイル数20以下)では、業務フォルダ分割は過剰になります。フラット運用のままで十分です。
- フォルダの分類軸は「業務」にする。「担当者別」「年月別」をトップ階層にしない(横断検索ができなくなる)。担当者や年月は業務フォルダの中で細分化する。
- 業務統合や名称変更時は、業務一覧を更新してからフォルダ名を変えます。フォルダだけ変えるとREADMEと食い違います。
- 業務フォルダ数が10を超える場合、大分類(例:「営業活動」「管理業務」)でグループ化を検討します。20を超えると探しにくくなります。
- 「未分類」フォルダは長期間放置せず、月1回の棚卸しで適切な業務フォルダに振り分けるか削除します。
まとめ
異なる業務のファイルが混ざる原因は、フォルダ分類が業務単位になっていないことです。業務一覧を作り、業務名でフォルダを切り、横断ファイルは専用フォルダにまとめれば、目的の業務に関係ないファイルが視界から消えます。
次にやることは、自部署の共有フォルダ直下のファイル一覧から、何業務分のファイルが混在しているか数えることです。3業務以上混ざっていれば、本記事のフォルダ分割効果が出ます。あわせて、共有フォルダの集約は共有フォルダの置き場所を1つに決める手順、正本専用フォルダの作り方は正本専用フォルダを作る手順も参考になります。

